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リステリア症の発生状況- オーストラリア

2018年4月11日

2018年4月9日にWHOから公表された情報によりますと、2018年3月2日に、オーストラリアの国際保健規則(IHR)国家担当者から、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の集団感染についてWHOに通報がありました。この感染の集団発生は、単一の栽培者から出荷されたロックメロン(cantaloupe種)の消費と関係していました。

リステリア症の発生状況

2018年1月17日から4月6日にかけて、リステリア症患者20人(確定患者19人、可能性の高い患者1人)の集団発生が報告されました。すべての患者が入院となり、7人が死亡し、この感染の発生にともない1人が流産しました。この感染でのすべての患者は、1月17日以降に発症していました。

公衆衛生上の取り組み

疫学調査から、感染の集団発生の原因はオーストラリアの単一の栽培者から出荷されたロックメロン(cantaloupe種)であることが示唆されました。疫学調査と環境調査が行われ、2018年2月27日には、この栽培者によって生産されたロックメロンは回収されました。

2018年3月1日には、オーストラリア国際保健規則(IHR)国家担当者から、細菌で汚染されたこれらの生産物が国際流通されていることが通報されました。調査・追跡の結果、オーストラリア担当当局は、3月2日に、この栽培者からロックメロンが8か国に輸出された情報を把握しました。その8か国は、 香港(中国)、日本、クウェート、マレーシア、オマーン、カタール、シンガポール、アラブ首長国連邦です。3月3日には、オーストラリア国際保健規則(IHR)国家担当者が、これらの国に対し、オーストラリアからロックメロンが輸出されていることを、直接、連絡を入れました。これと並行して、通報は、3月3日に国際食品安全機関ネットワーク(INFOSAN)からも発信されました。

さらに、調査・追跡が進められ、2018年3月7日に、この栽培者からバーレーンにもロックメロンが輸出されていたこと、3月8日には、細菌で汚染されたロックメロンがセイシェル諸島への輸送品にも含まれていた可能性のあることが確認されました。オーストラリア国際保健規則(IHR)国家担当者は、3月8日にバーレーン国際保健規則(IHR)国家担当者に、3月9日にはセイシェル国際保健規則(IHR)国家担当者に、直接、連絡を入れました。3月8日までに、調査・追跡の活動は終了しました。

これら輸入国におけるINFOSAN緊急連絡担当者には、オーストラリアのINFOSAN緊急連絡担当者により、入手できた可能な限りのロックメロン流通の特定情報が、各国に提供されました。

2018年4月4日に、小売店や農場を含む流通過程を通じて、栽培者から出荷されたメロンからの試料30本以上でリステリア菌(Listeria monocytogenes)に対して陽性であったことが報告されました。さらなる検査により、出荷された地域でもリステリア菌(Listeria monocytogenes)が検出されました。すべての試料のリステリア菌(Listeria monocytogenes)は、患者からの(菌)と同じ遺伝子配列をもっていました。この感染の集団発生の原因は、環境条件と天候条件とが組み合わさり、洗浄行程の後も低レベルの細菌が果物の表面を汚染し続けたことによると考えられています。栽培者は真摯に担当当局への協力を続け、検査によりこの土地(の汚染リスク)が晴れた後、4月2日から始まる週にロックメロンの供給を再開しました。

WHOのリスク評価

速やかに疫学調査と環境調査が行われたことにより、感染の発生源が特定され、回収命令を通達することができました。リステリア菌(Listeria monocytogenes)は長い潜伏期間をとることができるために、さらに感染の集団発生が報告されるかもしれません。

感染リスクに曝された国には、INFOSANを通じて輸入品の詳細情報が提供され、現地での回収や感染リスクの情報の普及など、適正な管理対策を取ることができています。(それでも)感染リスクに曝された国では、患者の発生が、まだ確認される可能性があります。

WHOからのアドバイス

妊娠女性、高齢者、免疫の弱い人は、低温殺菌されていない乳、柔らかいチーズ、総菜の肉料理(カットされた肉、パテなど)などの感染リスクの高い食品の摂取を避け、リステリア菌の感染を予防する対策を取ることが必要です。アイスクリーム、生の魚介類、甲殻類、貝類などにも注意が必要です。これらは、リステリア感染に関係する最も一般的な食品となります。近年、メロンや、その他の果物、野菜が、稀にリステリア症の発生に関与していることがあります。感染リスクを減らすためには、すべての果物や野菜を徹底して洗うことが重要です。

妊娠女性、高齢者、免疫の弱い人(例えば、がん、HIV、糖尿病、腎臓、肝臓疾患などの人々、免疫抑制薬を服用している人々など)を対象に、リステリア症に関する感染リスクの情報普及へのメッセージの伝達が勧められています。これらのメッセージでは、(感染)リスクの高い食品の摂取を避けることが推奨されています。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 9 April 2018Listeriosis – Australia
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