2018年5月24日
2018年5月8日、コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)保健省はエボラウイルス病(EVD)の発生を宣言した。これは、この国の過去40年間において、9回目のエボラウイルス病の発生であり、最近の大流行は2017年5月に発生した。
2018年5月17日の最新のDisease Outbreak News以降、死亡4例を含む追加14例のエボラウイルス病が新たに報告されている。5月21日には、イボコ(Iboko)保健区で6例、ワンガタ(Wangata)保健区で2例、合わせて新しく8例の疑わしい症例が報告された。5月20日には、イボコ保健地帯で(既に報告されていた)症例のうち7例がエボラウイルス病と確定された。最近、入手可能な情報がいくつかの症例の分類を更新されることを可能にした。
2018年5月21日現在、赤道(Equateur)州の3つの保健地帯から27人の死亡(致死率= 47%)を含む累計58人のエボラウイルス病患者(疑いを含む)が報告されている。ビコロ(29人、うち10人が確定、19人がほぼ確実)、イボコ(22人、うち14人が確定、2人がほぼ確実、6人が疑い)とワンガタ(7人、うち4人が確定、3人が疑い)。ワンガタで確認された4人のうち、2人は2018年4月以降にビコロで発生したエボラウイルス病患者(ほぼ確実例)と疫学的な関連性がある。
5月21日現在、600件を超える接触者が特定され、フォローアップ中であり、モニタリング調査が進行中である。58人の患者のうち3人が医療従事者であった。
Public health responseについては抄訳 WHOのリスクアセスメントアウトブレイクの程度に関する情報はまだ限られており、調査中である。主要な国内河川、国際河川、道路、国内航空路に位置する大都市ムバンダカでエボラウイルス病患者が確認されたことは、コンゴ民主共和国と近隣諸国にエボラウイルスが広がるリスクを増大させる。このため、WHOは公衆衛生上のリスクを国レベルで「非常に高い」、アフリカ地域レベルで「高い」と評価している。コンゴ共和国(Congo-Brazzaville)と中央アフリカ共和国を含む9つの近隣諸国は、エボラウイルス病が広がる危険性が高いとされており、準備活動が行われている。しかし、国際的なレベルでは、リスクは現在も「低い」と評価されたままである。さらなる情報が入手可能になり次第、このリスクアセスメントは継続的に更新される。
5月18日金曜日にWHO事務局長は、現在の状況と入手可能な情報に基づき、国際保健規則(IHR 2005)の下、緊急委員会を開催し、現在のアウトブレイクが国際的な公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern: PHEIC)であるか否かについて助言を求めた。緊急委員会は、PHEICを宣言する条件は現在満たされていないとの見解を示した。
WHOのアドバイスWHOは、緊急委員会の助言に照らして、いかなる旅行及び貿易の制限は不要であるとのアドバイスを継続している。 WHOはこのイベントに関連して、旅行及び貿易に関する措置を継続的に監視しており、現在、国際的な交通についての制限は存在しない。
緊急委員会は、PHEICの条件が現在満たされていないことに留意しながら、以下の公衆衛生上のアドバイスを行った。 ・コンゴ民主共和国政府、WHOおよびパートナーは引き続き積極的な対応に取り組んでおり、これがなければ状況は著しく悪化する可能性がある。この対応は、国際社会全体で支援されるべきである。 ・科学界間の国際的連帯は重要であり、国際的なデータは自由かつ定期的に共有されるべきである。 ・国際的な旅行や貿易を制限する必要がないことは特に重要である。 ・近隣諸国は準備と監視を強化すべきである。 ・対策に従事するスタッフの安全とセキュリティが確保され、国内外のスタッフの保護が優先されるべきである。 ・空港やコンゴ川の港を含む出国審査は非常に重要であると考えられるが、入国審査、特に遠隔地の空港での入国審査は、公衆衛生上の意味や費用便益上の価値があるとはみなされない。 ・十分に調整された対応のためには、リアルタイムのデータを用いた強固なリスクコミュニケーション、社会的動員及びおよびコミュニティ関与が必要であり、それにより、影響を受けている人々がどのような保護措置が推奨されているかを理解することができる。 ・もしも、アウトブレイクが大幅に拡大した場合、または国際的な拡大がある場合は、緊急委員会が再び開催される。
出典 エボラウイルス病 – コンゴ民主共和国 Disease outbreak news 23 May 2018 参考 エボラ出血熱について (ファクトシート) 2018年1月 WHO Ebola virus disease (Fact sheets) 12 February 2018 WHO