2018年4月4日
アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第13週(3月24-30日)]が公表されました。ここでは、中央アフリカ共和国で発生したサル痘について取り上げます。サル痘は、2017年12月にナイジェリアからも報告されていました。
2018年3月17日に、(中央アフリカ共和国)保健省は、州都バンバリ(Ouaka州)、さらに限定すれば、Ippyの街でサル痘が発生したことを正式に宣言しました。感染の発端となる患者は、3月2日に発症しました。直近の患者は3月16日に届出されました。2018年3月25日現在、死亡例はでていません(死亡率0%)が、感染の発端からは合計で8人の患者が報告されています。患者8人のうち、4人(50%)が男性で、患者はすべて5歳以上でした。3月25日の時点で、3人の患者が入院していました。
すべての患者から検査のための検体が採取され、州都バンバリにあるパスツール研究施設で検査が行われました。(その結果)感染疑い患者8人のうち6人が、サル痘ウイルスに陽性と判明しました。患者との接触者の1人が、疑わしい病変を発現しています。そのため、確認検査が進められています。
・政府保健省は、WHO、COHEB(community humanitarian emergency board;国連に認定された人道支援の非政府組織)、MSF(国境なき医師団)、IMC(International Medical Corps;国際医療センター)、OCHA(国連人道問題調整事務所)などの支援組織から支援を得て、感染の発生に対処しています。中央政府レベルでの(対策)調整委員会(MOH、WHO、ユニセフ、MSF、OCHA)が、定期的に危機管理会議を開催しています。
・サル痘への(感染)対策の計画が更新されています。
・スペインからのMSFは、患者を管理するために、10床の収容能力を持つ隔離病棟を開設しました。
・発症した患者には、無料での医療支援が提供されています。
・確認された患者との接触者には定期的に健康監視が行われています。
・医療施設が疑い患者を届出しやすくするために、患者の(診断)定義が配布されています。
・地域社会の活動と(感染への)注意意識の向上へのキャンペーンが続けられています。これには、毎日の新聞やラジオ放送、報道発表なども含まれています。
中央アフリカ共和国は、過去にもサル痘の流行を経験しています。特に、Basse Kotto(バス・コト州)、Haute Kotto(オート・コト州)、Mbomou(ムボム州)、Lobaye(ロバイエ州)で流行しました。そのため、今回の感染の発生を注意深く監視する必要があります。感染発生のさらなる拡大を防ぐためには、(感染)リスク情報の普及や地域社会での活動員の力が不可欠です。しかしながら、2018年3月20日以降、治安状況が悪化し、感染の発生地での活動環境が悪くなっているために、MSFはIppyの街での活動を停止しています。