2017年5月27日
日本人がアメリカで医師として一生涯働く場合には、まず問題があります。それは国籍の問題ですね。たとえば幼い頃にアメリカで出生した場合には、日本国籍とアメリカ国籍の両方を取得できる権利というものを所有していることになります。基本的には、二重国籍というものは認められていませんから、日本で働く場合にはアメリカ国籍を捨てる。日本で医師として勤務医や開業したければ、アメリカ国籍を捨てるという選択を迫られることになります。 どちらかの国籍を選択した場合には、どちらかの国で医師として労働をする場合には、外国人としてビザを入手する必要が出てくるわけですね。この点が非常に大きな点であり、どちらかの国で働くということを、しっかりと意思決定して、一生涯その土地で暮らし、そこで医師として働くという覚悟を決めなければなりません。 そして、アメリカで医師として活躍する具体的な方法ですが、日本で医大を卒業していて、研修医をしている。もしくは、研修課程を終了し、現役の医師として活躍しているのであれば、医学部卒業資格と他国での医師免許を所有しているとみなされますので、アメリカのUSMLE(医師国家試験)を受験する資格が獲得できていることになります。あくまで受験する資格を確保することができたということを忘れないようにしましょう。 そして、実際にUSMLEのstep 1, step 2 ck、そしてstep2csに高得点で合格することができれば、ECFMGに登録することができるようになります。これに登録をして初めて、アメリカでの研修に応募することができるんですね。しかしここで研修先が見つからなければ、それで終わりです。アメリカでは、3年以上の研修が必須ですから、研修ができないような状況であり、自分を受け入れてくれる医療施設がなく、臨床経験がまったくないという場合には、残念ながら医師として認められることはないのですよ。 どこかの病院で研修医として受け入れをしてくれれば、初めてその病院で3年から5年の研修を受けることができます。そしてその研修が終了した後に、晴れてアメリカ合衆国での医療行為を行うことができる医師免許を取得することができます。 このアメリカで研修をする際に、アメリカ国籍を取得するのか、日本国籍のままでいるのかの選択を迫られることになるのです。それぞれの選択によって、たとえば日本国籍のままということを選択すれば、就労ビザなどの必要なビザを獲得しなければならないのです。