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マラリアの撲滅への高いレベルでの公約の維持-SEARO

2018年4月26日

2018年4月25日のマラリア・デーに合わせて、WHO東南アジア地域事務局長から、マラリア撲滅のために高いレベルでの公約を維持することが示されています。東南アジアから南アジアにかけては、現在もマラリアの大きな脅威が残る地域です。

記事の概要

 

WHO東南アジア地域事務局(SEARO)地域は、マラリア撲滅の推進において世界的な進展を遂げました。2010年以降、マラリアの発生率が半減し、関連する死亡率は60%も低下しました。モルディブとスリランカの2か国では、既に、マラリアの感染伝播を克服しており、マラリアが常在しないことが認定されています。すべての計画への取り組みにおいて、(対策)用具の正しい使い方や戦略を合わせて高いレベルでの公約(を維持すること)が、この地域全体でマラリアの撲滅を可能にする鍵となります。

 

各地域の加盟国は、これを重要なこととして理解しています。11月に締結された東南アジア地域でのマラリア撲滅の推進と継続に関する閣僚宣言で示されたように、この地域全体には、マラリアの撲滅への他の地域にない機会が存在します。例えば、ブータン、ネパール、東ティモールは、モルディブ、スリランカに続く可能性のある国として認識され、2020年までにマラリアの感染伝播を遮断できそうです。

 

しかし、2030年までにこの地域で(マラリアを)撲滅させることの目標を達成させるために、マラリアが依然として問題となっている地域や集落では、集中的に取り組むこと必要があります。そのためには、継続的に高いレベルで公約を維持することが不可欠であり、一連の科学的根拠に基づいた介入の実施に焦点が当てられることが必要です。

その中でも真っ先に、(隔絶された)部族、移住者、移動住民など、不利な環境に置かれ、顧みられない地域集団にも、各国政府のマラリア(撲滅)プログラムが拡大されています。ここでは、長期持続性の殺虫剤含有ネットの利用環境の整備(住民が使用方法と使用の理由を確実に理解すること)、必要に応じた屋内残留(殺虫剤)噴霧の実施などがあります。また、妊娠女性や5歳未満の子どもたちには、出産前(医療)サービスの利用環境の向上を含め、これらの人たちに特別な注意を払うことが含まれています。

 

調査活動の強化、十分な対処能力をもって利用できる医療機器や治療も重要です。調査活動は地域全体(国境を越えて対策を主導していくことを含む)で強化が行われています。この地域では、撲滅の促進、特に、2020年までにマラリアの撲滅に向けて取り組んでいる国々や、2025年までの熱帯熱マラリア原虫の撲滅を目指している広域メコン川地域圏では、変革が実現できそうです。この地域圏では、多剤耐性(マラリア)への深刻な状況に向けた対策が行われています。このことは、医療機器や治療を効果的に利用できるための強力な後押しの一部とならなければなりません。特に、世界のほとんどの三日熱(マラリア)患者が東南アジア地域にいることを考えれば、三日熱マラリア患者の治療に対してもっと実用的な方法が、例えば、プリマキンの安全かつ有効な使用についての方法が必要となります。

 

確実に、政府レベルでマラリア(撲滅)プログラムへの資金提供が継続されることが最も重要となります。地域全体で国内の資金調達が増えてこない限り、マラリアの悲惨な再興が、はっきりとした(そして驚くべき)可能性として見えてきます。この地域の加盟国の多くが国際的な資金調達への依存からの脱却を図る中で、(各国の)上層地位の指導者は、マラリアの撲滅による利益が、住民の健康と福祉だけでなく、社会全体としての継続性のある発展をもたらすことを認識しておかなければなりません。

 

それは重要なポイントになります。世界マラリア・デーで、私たちは、マラリアを撲滅することへの備えが、現存する(感染)脅威、これまでの進展、現在の利益以上のものであることを理解しなければなりません – それは、私たちが採択し、2030年の撲滅目標の達成に向けて示している中心にあるものです。WHO東南アジア事務局の地域は、マラリアを撲滅するための準備を整えており、引き続き、加盟国の目標達成を支援していきます。継続しながら、高いレベルで公約を維持すること、これをそれぞれ一つひとつの国は実行することができます。

出典

SEARO/WHO. Media centre. Sustain high-level commitment to beat malaria across the WHO South-East Asia Region

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