2017年5月27日
医師の中には、公衆衛生医師と呼ばれる分野の医師として活躍している医師が存在しています。公衆衛生医師とは、わかり易く言ってしまうと、保健所で勤務をしている医師と考えてください。健康相談や、伝染病などの感染予防。他にも難病対策であったり、精神保健などを、その勤務する管轄の公衆衛生業務に就くことになるのですよ。こういった公衆衛生医師になる就業先は、各都道府県に存在している保健所ですから、地方公務員として扱われることになるわけです。ちなみに、年収は800万円から1500万円程度と言われています。 日本で公衆衛生医師になる場合には、医師国家資格を所有していること以外に、3年以上もの期間で、公衆衛生の実務経験があるということ。そして国立保健医科学院において、養成訓練課程を終了していなければならないという条件が設けられています。これは地域保健法施行令というもので定められているものですから必須条件なんですね。国立保健医療科学院に入学するには、書類審査と、英語・数理統計学の基礎や小論文などの筆記試験と、面接試験をパスしなければなりません。 保健所に勤務するためには、医師免許のみがあれば良いので、診療科などが問われるということは、まずありませんし、実際に関係はありません。ただし、公衆衛生医としての実務経験がない場合においては、前述にあるように国立保健医療科学院で研修を受けなければ、勤務することが不可能であるということなんです。 この公衆衛生の分野でも、海外で医師として活躍したいという医師は、年々増加傾向にあるんですよね。しかしながら、転職を希望する前に覚えておいて欲しいことがあります。日本という国は、保健サービスの水準が高く、充実している国だといっていいでしょう。日本では下痢であったり、はしかであったり、結核を始めとする感染症での死亡例は、そこまで見られませんが、発展途上国においては、今でもこれらの感染症で死亡しているケースが多く見られるのです。 こういった公衆衛生医というものが確立している国というのは、そこまで多くはないということを覚えておきましょう。その代表格がイギリスという国です。イギリスの場合には、古くから保健師の制度が確立しているという歴史がありますから、公衆衛生医の需要というものも高いというのが挙げられるのです。こういったそれぞれの国の公衆衛生医の需要や、職業そのものが確立されているのかを知っておくことは、前提として持っておくべきだと言えるのですよ。